・「契約」
契約とは、「個人間の、お互いの権利・義務に関する約束」をいいます。もっとカタい言葉でいえば、「個人間の約束の中でも、その強制(履行)に国家が協力するもの」をいいます。つまり、「法的拘束力のある約束」。
・ウルトラマン事件
円谷&バンダイ×チョイヨー(タイ) 権利の所在 ハリウッド映画にならない理由
・契約のゴール
権利を与える契約のゴール「相手が必要としている、現に活用できそうな権利だけを与える」+「それ以外の権利はこちらに残しておく」
権利を得る契約のゴール「対価が変わらないなら、将来活用する可能性のある権利は全部いただく」※国際交渉ではそれが基本
・ライセンス契約、クリエイティブ・コントロール
著作権譲渡× 期間・地域・利用期間限定等 チェック→監修・アプルーバル
・アサインバック
二次創作をライセンスした側の企業が、その見返りに作られた二次的著作物の著作権を吸いあげてします約束。海外の有力メディア企業を中心に、ビジネスの交換条件としてよく登場する条文。普通はライセンスを受けた側が、ライセンス料を支払う。しかし、アサインバックでは逆。ライセンスを与えた方がお金を受けとり、二次的著作物の権利も受け取る。これば特徴であり、強力さです。
例:ディズニー 利殖のようにどんどん知的財産がたまる。
・裁判管轄
「この契約に基づくすべての紛争や意見の相違は、東京地方裁判所の独占的な管轄に服する」といった約束。このように取りきめておけば多くの場合は有効。裁判はその独占的な管轄を持つ裁判所でしか提起できなくなる。※海外との取引時は要注意。日本にすべし。
・準拠法
契約書に書かれていない問題が発生したり、契約書の言葉の解釈で意見がわかれた場合には、いずれかの国の法律にしたがって判断することになります。この際、どの国の法律に従って解釈するかを、「準拠法」の問題といいます。日本は民法。詳しくは契約法。
・契約法
例えば、契約で取り決めなかった約束の細かい部分は法令が補ってくれる。契約の種類ごとに細則の規定がある。こうした契約にかかわる法令のグループを総称して「契約法」という。
※ただし、ほとんどのケースでは、当事者が取り決めをすればそちらが優先です。つまり、当事者は自由に契約を結べるだけでなく、契約で何を取り決めるかも自由です。これを「契約自由の原則」とか「私的自治」といいます。 私的自治>法令
※詳しくは、強行法規>契約>一般の法令(任意法規)
※「契約自由の原則」は我々の社会のかなり根幹的なルールです。
・契約を守らないとどうなるか
- 履行の強制 ※強制執行など
- 損害賠償 ※実損害のみ。契約違反罪はない。
※契約違反の場合には、ペナルティとして一定の金額を実損害に上乗せして払うとか「違約罰」、あるいは損害賠償の金額をあらかじめ決めておく「損賠賠償の予定」といった取り決めもある程度までは有効。
- 解除 ※同時履行の抗弁が例にある。家、買主、まずは、「履行の催告」をし、ちゃんと
要求して期間を待ってはじめて解除できるのが原則。
・契約書のメリット
- 後日の証拠 ※例:「ショッピングモールの実験」被験者の25%~30%
※悪人をつくらない為。
- 背中を押す・腹をくくる
- 手続き上の必要
- 意識のズレ・見落とし・甘い期待の排除
※ビジネスの進め方の細部まで記載可能な為、そのままビジネスのマニュアルとして使える。
・契約書のデメリット
最大のデメリットは「手間」。ベネフィット>コストならば契約書を作成すべき。
・タイトルの「契約書」、「協定書」、「覚書」はどう違う?
さらに、「合意書」、「確認書」、「規約」、「約款」、「念書」などの違い。
→基本的に違いなし。タイトルはどれでもOK。
本来では、具体的に内容を示すような言葉をタイトル加えるのが一般的。
※それよりも内容がすべてである。
・「仮契約」は存在しない。
世の中には「仮契約」という言葉がある。
例えば、「今回は時間がないのでまずは仮契約でかわしましょう。後日、本契約をかわします。」この言葉にはご注意ください。英文契約でもある。「ディールメモ」でも同様に存在する。※仮契約でも契約は契約である。法的強制力はある。
・甲乙丙丁・・・・
「甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸」干支の十干(じつかん)
・及び/並びに、若しくは/又は
「及び」「並びに」ANDの意味
「若しくは」「又は」ORの意味
※「及び」と「並びに」の区別
小さいグループと、それを束ねた大きいグループがある時、前者の接続詞には「及び」を使い、後者の接続詞には「並びに」を使う。
・「責に帰する」と「不可抗力」
せめにきする。と読む。
「不可抗力」とは、たとえば、「当事者のいずれかが契約上の義務を履行しない場合、不可抗力による場合をのぞいて、その当事者は他方当事者のこうむった損賠を賠償する責任を負う」といったように記載します。つまり、「不可抗力の場合には契約を履行しなくても責任は負わない」というわけ。
※不可抗力は「天災地変のように人力ではどうすることもできないこと。外部から生じた障害で通常必要と認められる注意や予防方法を尽くしてもなお防止し得ないもの」とされている。広辞苑より
→しかし、見解の違いも出てくるので、詳しく明記した方が良い。
・催告と解除・解約
キャンセル条項:契約というものは白紙撤回できない。ただし、相手が契約違反をした場合には、催告をしたうえで契約を一方的に解除できる。これは契約法の原則。
※たとえば、解約のしかたについて定めておくことも可能です。「甲は、いつでも乙に通知することで、この契約を解約することができる」等。又、キャンセル料の支払い条件も追加可能である。
・便利な自動更新条項「自動更新」
例えば、「本契約期間の満了の二ヵ月前までにいずれの当事者からも書面により反対の意思が通知されないかぎり、本契約は同一条件にて更に三年間更新され、以後も同様とする」
・危険な捨印、契印、印紙
捨印は危険。相手は捨印を悪用して内容をどうにでも変更できることを意味する。
「契印」複数のページがある契約書の場合。押しかたは様々な専門テクニックがある。
印紙、ある種の契約書には「収入印紙」というものを貼らないといけません。これは「印紙税法」という法律で義務付けられています。貼らないと契約書が無効になるわけではない。
契約書は有効ですが、印紙をはることは法律上の義務なので、気をつけましょう。
・契約力を高めるために
- 契約書は読むためにある。
- 「明確」で「網羅的」か。
- 契約書はコスト。コストパフォーマンスの意識を持つ。
・「契約力=対話力」の養成を
- 重要なのは「書式」よりも対話の力
- 合意至上主義、交渉決裂は「失態」という意識を乗り越える
- 国際契約を対等に近づける努力
- 業界知識・契約知識・相場感を知る
- 契約交渉は必要なコストだという認識
- 「花形」としての契約交渉セクションの育成
参考書
・【日本政府は外交や交渉術が下手すぎる。ボクの著書を読むべき】橋本徹 大阪府知事
・【日本人の法意識】著者:川島 武宜 岩波新書
我われ日本人は法律や契約を単なる建前と考える傾向が強く、よって必ずしも重視せず、実際にトラブルがあっても話し合いや人間関係で解決に至ると考えがちである。と指摘。
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